オペラ・リサイタル
バスティアニーニ(エットーレ) ポリドール ポリドール プッチーニ
バリトンの魅力、ここにあり。
バスティアニーニは間違いなく20世紀最大のバリトンだろう。
バリトンはテノールに比べ華もなく、世間一般からの認知度もそれほどない。オペラでは残念ながら、"悪役"や"脇役"が多い。
だが、バリトンはバリトンだけにしかない、深い情感、豊かな響き、力強い歌声を持っている。そしてそのバリトンの魅力を最大限に楽しめるのはこのディスクだ。
選曲もなかなかだ。トロヴァトーレやリゴレットのアリアが含まれてないのは少し残念だが、アンドレア・シェニエの「祖国の敵」、ファヴォリータの「レオノーラよ、私の愛を」など、彼の当たり役だった役の名曲がたくさん含まれている。
中でも、歌劇「運命の力」からの抜粋は、このディスクで、ある意味最大の目玉かも知れない。テノールとの二重唱や長大なアリアなど、運命の力のなかでも最大の見せ所が多く収録されている。しかも相手役のテノールは不世出のテノール、マリオ・デル・モナコで、まさに大迫力の声の決闘が繰り広げられる。
バリトンアリア集の金字塔です!
ヴェルディ:運命の力 全曲
デバルディ(レナータ) ユニバーサル ミュージック クラシック ユニバーサル ミュージック クラシック ヴェルディ
イタリアオペラを一つ言え、と言われたらこの演奏を推します。
デル・モナコ、テバルディ、バスティアニーニ、シミオナート、シエピ、コレナ、パルマ、兎に角凄い配役。凄い声の共演。とくに、モナコとバスティアニーニの数度の二重唱が凄い。殆ど何かに憑かれたような迫真の名唱。流石の彼らも、二度と出来ない一瞬だったに違いない。モナコの声は、艶があって力強く、ヘヴィーだが、しかし伸びやかで、甘さもある。そのうえ、アリアでは、彼には珍しく陰翳と深みがあった。これに負けない重厚でバスを思わせる、しかし艶やかなビロードの輝きのバスティアニーニ。一方、テバルディの声は、トスカニーニ絶賛の「天使の声」。格調、気品、潤いと包容力、この評価に過剰は無い。シエピの声を聴くと、ブルッチョラーゼやギャウロフはやっぱり野暮ったく薄暗い。イタリアンバスの骨頂。ブッファとは何か、昨今では分からないが、知りたければ、コレナとパルマのこの演奏を聞けばよいと思う。指揮のプラデッリは、演奏全体を歌わせ破綻が無いイタリアオペラの良さをしっかりと示していたと思う。
華麗な歌手の饗宴
『運命の力』はドラマとしては問題の多いオペラです。
まず原作の侯爵の2人の息子役を(おそらく上演における現実的な問題から)ドン・カルロ1人にしたこと、更には原作通りであった初演版の結末を1868〜9年の改訂で(おそらくカソリックの総本山イタリアで上演する為の社会的な配慮から)まるっきり変えてしまったことで、登場人物達の行動に説得力が欠けてしまっているし、そもそも第2幕第1場や第3幕第2場後半のような、本筋とはさほど関係のない場面があまりにも多く挿入されることで、ストーリーも求心力を失ってしまっています。。従って、ドラマを楽しみたい方ならばおそらく所々首をひねってしまうであろうからあまりお勧めできるオペラではありません。
しかし何故、本筋と関係のない場面が多いのかを考えてみると、それは恐らく実際の舞台公演ではこれらの場面が非常に華やかな印象を観客に与える事、もっと言えば、独立間もない当時のイタリアの人々にはこれらの戦争賛歌の場面が本筋以上の興奮を与えたのではあるまいか、との見方もできます。いやむしろそちらの方が本当の狙いだったのではないか、そう思わせるほどにこのオペラは、悲劇でありながら、華やかで力強い印象を与えてくれます。
このオペラの魅力がそうした華麗さであるとするならば、このモリナーリ=プラデルリ盤こそは最高の名盤です。何といっても歌手達の力量が凄い!ずらりと並んだ名歌手達は勿論のこと、端役そして合唱にいたるまで力強い歌声を聞かせてくれます。中でも抜きん出ているのがマリオ・デル・モナコとシミオナートの圧倒的な存在感。僕は残念ながらドラマも楽しみたかったのでこの評価ですが、華麗な歌の饗宴に酔いたい方ならば、このアルバムから最高の満足感を得られるものと思います。
ヴェルディ:椿姫 全曲
スコット(レナータ) ポリドール ポリドール
イタリア・オペラの真髄
ヴォットー指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団及び合唱団。1962年収録。
キャスト:ヴィオレッタ/レナータ・スコット(S)、アルフレード/ジャンニ・ライモンディ(T)、その父ジェルモン/エットーレ・バスティアニーニ(Br)。
ヴォットーは、このオペラの魅力を最大限に引き出しています。オケも合唱も素晴らしく、隅々まで神経の行き届いた演奏で、全く、非の打ちどころがありません。ソリストがまた素晴らしい出来映えで、ここでのスコットは、カラスを凌ぐ程の歌唱を聴かせてくれますし、ライモンディ、バスティアニーニも、スコットの熱演をさらに盛り上げる見事なサポートぶりで、これもまた、文句のつけようもありません。ライヴでないにもかかわらず、全編通して、目の前で舞台を観ているかのような、臨場感に満ちあふれていて、感動的です。スコットの代表盤と言えるでしょう。録音も良いし、すべてにおいて、高水準のディスク。
スマートな指揮とコトルバスの美しい歌唱で魅了するクライバー盤もとても素敵なのですが、こちらは、本物、イタリア・オペラの真髄を伝えてくれる、後世に残る名演だと思います。簡単な解説付き。対訳なし。
プッチーニ:ボエーム 全曲
テバルディ(レナータ) ユニバーサル ミュージック クラシック ユニバーサル ミュージック クラシック プッチーニ
過去最高のボエーム
個人的にはカラヤン盤の上位に来る最高の名演と思う。歌手にたっぷり歌わせ、後ろで支える一方、曲全体の流れをしっかり把握して独自のものに仕立て上げるセラフィンの勝利。この指揮者は最初聞いたときは、みごととは思うが、やや印象が薄い。が、色々聞き比べていると良さがいよいよ分かってくるという「名匠」。テバルディのミミは日本では「柄が大きい」などと見た目(痩せているが背が高く骨太)のことと歌をごっちゃにしたような批評を耳にするが、歌についてはカラス以上の美声で、とにかくブレス間隔が長い「スケール」の大きな歌唱。でも「お針子だから」というプリミティヴな先入観を先行させてこの歌を拒否しないで耳を澄ませて欲しい。フレーニのミミでは物足りなくなる筈だ。その他は、いかにも「文学青年」のようなベルゴンツィの名唱。パヴァロティの美声は忘れられないが、別の行き方ではベルゴンツイが頂点で、無双の仕上がりとなっている。ダンジョエロのムゼッタは格別。第2幕のムゼッタのワルツはお手本で未だに比肩するものを聞いたことが無い。バスティアニーニ、シエピ、コレナ、いずれも美声で聞かせどころを存分に聞かせてくれる。
陶酔のひと時
セラフィンの細部にまで神経の行き届いた、指揮ぶりには驚嘆するしかない。イタリアオペラを振らせたら、間違いなく最高の指揮者だろう。またベルゴンツィが、素晴らしい。彼程美しい声のテノールは、そうはいないだろう。プッチーニの音楽に酔いしれる事のできる最高の名盤である。
どうせこの世は一期の夢ぞ。泣きましょう! 酔いましょう!
~「私の予想ではその女は近々病気で倒れて死ぬな・・・」(川原泉「笑う大天使」)と安直にくくられるステレオタイプそのものの、病弱気まぐれ女をめぐる恋愛悲劇。しかしそうと分かっていてもやはり最後には泣かせてくれる、さすがプッチーニ。気がつくと、愛する二人のアリアの後には雪すら降っているではありませんか。多々ある演奏の中でも、全体がしっく~~り一つのムードの中に収まっているという点で最高の完成度と言える一枚。~
ヴェルディ:歌劇「椿姫」全曲
カラス(マリア) EMIミュージック・ジャパン EMIミュージック・ジャパン ヴェルディ
ヴェルディ:運命の力
モナコ(マリオ・ テバルディ(レナータ) ポリドール ポリドール ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団
プッチーニ:ボエーム
テバルディ(レナータ) ポリドール ポリドール
ヴェルディ:歌劇「椿姫」全曲
カラス(マリア) EMIミュージック・ジャパン EMIミュージック・ジャパン ヴェルディ
絶頂期のカラス、そしてスカラ座がいかにすごかったかをまざまざと思い知らされる衝撃的な伝説のライヴである。まず冒頭の前奏曲からして凡百の演奏とは熱気が違う。若き名指揮者ジュリーニのたぎるような情熱がもう沸騰寸前。そして、前奏曲が終わると嵐のような拍手! おそらく、幕が開いた瞬間、観衆があのルキノ・ヴィスコンティ演出の豪奢なリアリズムあふれる舞台美術に圧倒されたのだろう。
第1幕の最後、カラスの歌うヴェルディ屈指の名アリア「ああ、そはかの人か」は命を賭けた絶唱ともいうべきすさまじい出来で、最後の最高音の伸ばし方など何度聴いても魂を揺さぶられずにはいられない。往年の名バリトン、バスティアニーニの「プロヴァンスの海と陸」といい、ディ・ステファノのアルフレードが札束を叩き付けて賭博場でヴィオレッタを侮辱するシーンのど迫力といい、劇場全体が熱く燃えている。
1955年ライヴ録音なので音は悪いが、そんなことはどうでもよくなってしまうほど、この演奏には強烈なリアリティがある。最後の死のシーンなど、何度聴いても泣ける。カラスを語るうえでは絶対に忘れることのできない、必聴の演奏記録である。(林田直樹)
正統派「椿姫」
僕が一番好きなのは、クライバー、コトルバス、ドミンゴの録音ですがこちらは少し異色なもので、ややこってりしていて、人生経験豊富な人物達の「椿姫」である。しかし、このジュリーニ盤は本当に若い。カラスのコロラトゥーラは凄いし、高音も楽々である。ヴィオレッタ=カラスとまで言っていいだろう。そしてディ・ステファノは相変わらずの甘い声で歌っている。うっとりする。そして父・ジェルモンのバスティアニーニがまた素晴らしく、言うことがない。
録音状況はお世辞でもいいとは言えないが臨場感たっぷりで伝わってくるものがある。アリア後の歓声は鳥肌ものである。
しかしオペラを始める人にはもっといい録音のものをおすすめします。悪しからず。
カラス絶頂期
まさにこれは絶頂期のカラスのスカラ座での歴史的録音です。ノイズが多いですが、それを凌駕する声!フランコゼフィレッリが演出しています。このころカラスは体重を落として、ファッションモデルのような体に変身し、人気絶頂期を迎えています。ジャケットの写真をご覧ください。カラス以後、椿姫はソプラノ歌手にとって非常にリスクの高いロールになってしまいました。特にスカラ座では、カラスと比較されるために、満足いかない演奏に対するブーイングは脅威となっていたそうです。これ以外の椿姫の公演だと、わたしのお気に入りはコヴェントガーデンのアンジェラ・ゲオルギューの録音。これはDVDも出ていて、アンジェラのカラスに劣らない美しいヴィオレッタが堪能できます。
ジョルダーノ:アンドレア・シェニエ 全曲
デル・モナコ(マリオ) ユニバーサル ミュージック クラシック ユニバーサル ミュージック クラシック ジョルダーノ
マリオ・デル・モナコ全集
デル・モナコ(マリオ) ポリドール ポリドール
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