ベートーヴェン:交響曲全集 ベートーヴェン:交響曲全集
プレトニョフ(ミハイル)   ユニバーサル ミュージック クラシック   ユニバーサル ミュージック クラシック   プレトニョフ(ミハイル)  
この人の視点
陳腐な表現ですが、個性的な全集であるという噂には間違いはありません。聴く人によってこんなにいろいろと言いたくなるベートーヴェンなんて近年稀ではないでしょうか。
とにかく、何かひとつのスタイルで一貫性を持たせてまとめよう、なんて発想はありません。このCDの販売形態こそ全集ボックスですが、ベートーヴェンは別に全部まとめてCDで聴いてもらおうなんて考えていなかったんですから、全曲スタイルを統一させる必要なんてないんでしょうね。それぞれ独立した作品なんですよね。
ただ、プレトニョフがスコアを見て、感じ取ったままに正直に、未完成でもやりたいように演奏したらこうなったというだけです。「一般的にはこうする」というような考え方に縛られなかったところはもう大いに賞賛したいところです。また天下の大レーベルがこんなクセのある全集を出してくれたことは評価に値するかと思います。とにかく「痛快」!
この5つ星は、大沢親分や張本さんの「あっぱれ!」と同じものとお考え下さい。
指揮者としてのスタートラインに立ったか
◆これまでの指揮者プレトニョフは、統率力不足が目立ち、全く失望続きだったのだが、このベートーヴェンは素晴らしい!!
隅から隅まで自由自在にオケを統制している。
彼はやっとオーケストラという楽器を意のままに操ることが、出来るようになったようです。
◆局所局所で、やりたいことを全部やったらこうなった!的な解釈は、
1980年代に彼がピアニストとして、ソ連メロディアへ録音した盤の数々を思い出させます。
当時の彼は、多くの人に「木を見て森を見ず」と言われたものでした。
しかし、とにかくあれこれ試すことを続けて、著しく成長しました。
そして後年の、ヴァージンやグラモフォンに録れたピアノの名演奏群には、一本一本の木々を極めた者だけが描くことの出来る森や山々の姿があります。
◆オーケストラを自在に使いこなせるようになった今の彼が、あれこれやってみたくなるのは、当然の成り行きなのです。
指揮者としての円熟を暖かく見守りましょう♪
実際、古楽奏法を取り入れてお茶を濁す指揮者が増えて来た中、
古楽の影響を殆ど感じさせずに、これだけユニークな試みを展開出来る指揮者はなかなか居ませんからね。
あれもこれもで、何もなし?
輸入盤で聴取。一部の批評家の好評もあり聴いてみたが、取りとめのない全集となってしまった。19世紀巨匠風のリタルダンドがあるかと思えば、神経質なほどの強弱の交代があり、新スコアによるハイテンポかと思えば、所謂ロシア的咆哮が突如現れ、かと思えばしつこいような弦の情緒の表出・・・といった色んな要素が同じ曲のなかに同居し、あれもやりたい、これもやりたいという意欲はあれど、結局指揮者は作品をどのように解釈するのかという一貫性がまるでなく、一向に作品そのものが現れてこないといううらみがある。ピアニストとして著名なプレトニョフではあり、決して軽薄なノリではなく、真摯でまじめな演奏だと感じるが、意欲が多方向のベクトルに分散し、裂かれている気がする。
『運命』の<運命>動機の提示終結部など、フルトヴェングラー風の間合いも見られるが、終楽章の腰の軽い進行など、ほとんどチンピラ古楽器系指揮者だ。『エロイカ』は、最悪レベルの演奏。強弱へのしつこいこだわりが鬱陶しく、内面から拡がってゆく作品ならではの解放感が微塵もない。第7の終楽章も情熱がないではないが、暴走族まがいだ。第2楽章は情緒纏綿路線だが、満喫にはほど遠い。
それでも、この全集の価値もある。それは、以上の欠点が全て揃っていることによる。つまり、演奏スタイルとは何かを再考させてくれるという点だ。ただし、初めてベートーヴェンのシンフォニー全集を求める人にはお奨めできない。1にモントゥー、2にスクロヴァチェフスキ、3にラトルあたりをまずは聴くべし。

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   マティアス・ゲルネといえば、いまや世界屈指のバリトン歌手だが、ステージでもCDでも、オペラよりドイツ歌曲の歌い手として知られている。だから、ゲルネの美しいシューベルト歌曲に感動してきた人々は、メトロポリタン・オペラのデビューでパパゲーノを愉快に歌うゲルネに驚いた。それより驚くのは、このレコードだ。ゲルネは、3世紀に及ぶオペラからまったく性格の違う9つの人物を取り出し、彼独自のキャラクターに仕立て上げている。彼は、その優れて広い声域と豊かな色と抑揚に恵まれた声を駆使し、しかし決して過剰に走ることなく、パパゲーノのユーモア、アルマヴィヴァ伯爵の邪悪な下心、ドン・ジョヴァンニの色情、ウォルフラム・フォン・エシェンバッハの深い思いと清らかな信仰心、ヴォツェックの破滅への倒錯と狂気を、自分のものに成しきって演じ分けるのだ。その間に、フンペルディンクの「王さまの子供たち」から吟遊詩人の胸裂ける哀歌(もちろん、他のオペラ曲もこのアリア劣らず美しい)、シュトラウスの「アリアドネ」からハレルキンの皮肉な戯れ歌、コルンゴルトの「死の都」からピエロの幻想的な歌、そしてシューマンの「ファウストからの場面」の勇壮な場など、非常に珍しい曲が入っている。ゲルネと4曲でデュエットするソプラノのドロテア・ロシュマンが、他にも多彩な役柄を柔軟にこなして、見事である。児童合唱と女性合唱が楽しい混声効果を上げている曲もある。オーケストラがすばらしい。(Edith Eisler, Amazon.com)

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 シャイーのブルックナーでは1番(ベルリン放送響)とともに優れた演奏だと思います。全集を入れているシャイーですが、弦の響かせ方が明るく、かつ微妙な揺れが感情を豊かに表出します。しかし、甘美なセンティメンタリズムの一歩手前で抑制したかと思うと、次に雄渾な管楽器がブルックナーサウンドを存分に聴かせます。その繰り返しが一種のスリリングな緊張感を生んでいきます。多分、計算され尽くしているのでしょう。部分的にはそれも垣間見えます。しかし、その術中にはまっていくのも心地よい気分です。自信をもった演奏だと思います。こういう演奏スタイルがあってこそ、ブルックナーの多様性が楽しめるのではないでしょうか。一方、ヴォルフはフィーッシャー・ディスカウが好きな小生には、あまり打つものがありませんでした。なお、カップリングではフルトヴェングラー+シュワルツコップ(ソプラノ)と共通しますが、ヴォルフは6番との相性が良いのでしょうか。

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